良い手は指が覚えている(仮)

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大山杯参戦記⑤〜準決勝〜

 【準決勝】

 

  相手は東北屈指の強豪Sさん。全国でも上位常連、年齢を重ねてますます円熟味を増している手厚い居飛車のイメージ。初手合だ。

 

 私の先手で、角換わり48金型となった。

 

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ここでは66歩とじっと相手の狙いを消すのもあったかもしれない。むしろそちらが良かったか。

しかし私は意を決して75歩!と突く。以下、65桂、66銀、86歩、同歩。次の手を考えてほしい。

 

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同飛の一手かと思っていたが、それには65銀直、同歩、77角が飛銀両取り。

 

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技巧先生によるとそこで26角!という切り返しもあるようだが…実戦では指しきれない順だろう。

 

実戦は86の歩を取らず、じっと......81飛!

 

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これがアマトップの呼吸か!と感心させられた。

 

後手は73角から根本の64歩を取られるとアウト。

じっと相手の狙いを消しつつあわよくば41飛からの転換を見ている。 

 

手を渡されて困った。今度は選択を迫られる番だ。

 

パッと見は72角から飛車をいじめたいが、喜んで41飛と回られそう。

 

堂々と74歩と取り込むのも見えるが瞬間甘い。88歩や77歩の叩きに耐えきれる自信がなかった。こちらは76桂と王手されるキズが常に気になるところ。

 

大半の時間をつぎ込んだが、読めば読むほど最善がわからない。

 

あえて手を渡すことにした。24歩。

 

以下、同歩、同飛、23金、29飛、24歩と陣形を乱してから72角、71飛、83角成と進行。

 

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また相手に出番が回った。81飛と24歩からの手渡し合戦はとても印象にのこっている。

 

このあたり善悪は微妙としか言えないが、自分からは絶対に崩れないぞ!という準決勝らしい応酬だと思う。

 

こちらは上手い具合に64の歩ないし65の桂を外して自玉をラクにしたい。自ずと上部が見えてくる。

 

83角成以下、88歩、97桂、33桂、82馬、61飛、65銀直、同歩、36桂

 

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この辺りで私も時間が切れ、秒読みだ。この局面で両者秒読みというのが中盤の濃密さを物語っている。

 

以下、45銀直、同歩、76桂、77王、75歩、72馬、51飛、44桂

 

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このあたりハッキリとは覚えていないのだが、馬で飛車を追い回して千日手含みで時間を稼いだ部分があるが並ばないので省略する。それくらい一手先も読めない展開だった。

 

以下、89歩成、同飛、42金、62馬、81飛、63馬、71飛、62銀

 

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飛車を下手な位置に逃がすと馬で65と75の歩を回収する順がある。それは不敗の態勢になる。

 

62銀から飛車は詰んだ。しかし当然ここでラッシュがくる。

 

以下、88銀、同金、同桂成、同玉、76歩、71銀不成、77金、79玉、88歩

 

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 突然迎えたクライマックスに心臓が高鳴る。鼓動を沈めるように、冷静に指差し確認で読み筋を重ねる。。しかし読み切れない…26.27.28...わからないけれど勝つにはこれしかないと思った。

 

32銀!!

 

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幸いにもこれで寄っているのだ。本譜は同金だったので、51飛と離し飛車で即詰みとなった。

 

同金に変えて22玉とかわすのは、、21飛、13玉、11飛成、12角、ここでわからなかったのだが、21銀不成くらいでいいようだ。

 

 以下、89歩成、69玉、22飛車と粘られた時がわからなかったが、そこで15歩がピッタリ。

 

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しかし冷静さを失った30秒ではどう転んでいたか。。

 

最後は執念が実った。